高次脳機能障害で看護が必要になった場合の賠償について| 横浜で『交通事故』に強い弁護士

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高次脳機能障害で看護が必要になった場合の賠償について

  • 文責:所長 弁護士 湯沢和紘
  • 最終更新日:2023年7月24日

1 高次脳機能障害に対する看護の特徴

一般的な後遺障害では、身体機能の一部が損なわれ、これに対する介助が看護の内容となります。

例えば、下肢関節の後遺障害により、被害者単独では日常生活動作に支障があったり、家事などの日常的な作業をすることが困難となった場合、日常生活動作の介助や、被害者に代わって日常的な作業を行うなどといった、身体的動作に対する援助が看護の内容となります。

これに対し、高次脳機能障害の場合は、身体機能それ自体には異常はないものの、脳の認知機能に影響が生じ、正常な判断やこれに基づく行動ができなくなることから、見守り、声かけといった、認知機能を補うための看護が必要となります。

そして、看護が必要とされた場合、これが将来にわたって継続することとなることから、将来分の看護費用をどのように算定するかについての問題が生じることになります。

2 高次脳機能障害と看護の必要性について

上記のとおり、高次脳機能障害に対する看護は、声かけや見守りといった、身体的動作に対する援助とは異なる対応が必要となります。

このため、後遺障害等級が比較的軽度であっても、看護が認められる場合があります。

看護が認められるためには、高次脳機能障害により生じた、具体的な障害の内容と、これに対する看護の必要性について、立証する必要があります。

3 看護の費用の算定について

⑴ 金額について

看護を第三者により行う場合、実際に要する費用が基準となります。

これに対し、近親者らが看護を行う場合、看護の内容に応じ、金額が定められます。

近親者が看護を行う場合の日額費用について、日額8000円を基準とする旨の文献がありますが(民事交通事故訴訟損賠賠償額算定基準(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部))、高次脳機能障害の場合、身体機能それ自体には異常がなく、見守りや声かけが看護の内容となることを考慮する結果、日額数千円程度とする裁判例が複数あります。

⑵ 看護の必要期間について

平均余命に基づき必要な期間を定めます。

⑶ 定期金賠償について

将来にわたっての看護費用の賠償を受ける際、期間に応じた中間利息(将来発生する費用を先払いとすることによる利得)を控除した金額が一括して支払われます。

しかし、控除による減額を避けるため、一括払いではなく、将来にわたって繰り返し看護費用を受けることも可能です。

これを、定期金賠償といいます。

ただし、この場合は、支払をする者が途中で経済的に破綻した場合、破綻以後の支払を受けられなくなる可能性もあることについて、注意が必要です。

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