高次脳機能障害についての慰謝料の相場
1 高次脳機能障害とは
事故により頭部に強い衝撃を受けたことにより、脳にダメージをうける傷害(脳内出血、脳挫傷など)を負傷し、かつ、受傷時に意識障害があるときに、発生することが多いとされています。
高次脳機能障害を発症すると、言葉を発することができなくなったり、記憶障害・注意障害(物事に集中できない、必要な注意を払うことができない)といった様々な症状が現れます。
脳には、思考機能のほかに運動機能を司る箇所もあるため、思考機能のみならず、身体動作にも影響が及ぶことがあります。
高次脳機能障害は、様々な後遺障害の中でも、比較的重い後遺障害といえます。
このため、慰謝料も高額になる傾向があります。
2 後遺障害等級と、これに応じた慰謝料
後遺障害について、その内容、程度に応じ、最も重い後遺障害である後遺障害等級1級から、最も軽症の後遺障害等級14級が定められており、後遺障害等級に応じて、実務上、一般的な慰謝料の金額が定まっています。
一般的によく見られる後遺障害は、頸椎捻挫・腰椎捻挫の傷害により、頸部痛・腰部痛の痛みが残ったことを理由とする後遺障害等級14級の後遺障害です。
これに対する慰謝料は、被害者に対する賠償額について、裁判になった場合に110万円、裁判に至らずに話し合いで解決した場合には、その8割程度の金額(88万円)とされることが多いです。
高次脳機能障害の場合、上記のとおり思考機能・生活動作に様々な障害をもたらすことから、頸部痛・腰部痛などと比べ重い障害とされています。
このため、高次脳機能障害の後遺障害が認定された場合、後遺障害等級14級よりも重い後遺障害等級9級から、最も重い同1級のまでの間で等級が認定されることとされています。
この場合の裁判での慰謝料額は、1級が2800万円、9級が690万円とされることが一般的です。
3 被害者の親族に対する慰謝料
慰謝料は、事故の被害者本人について発生します。
しかし、民法711条では、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権(注:被害者の父母らの財産権)が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」としています。
そして、最高裁の判例では、死亡に比するような状態となった場合にも、被害者だけではなく父母らへの慰謝料の支払を認めています。
重度の高次脳機能障害の場合、例えば寝たきりとなり父母らとの意思疎通が全くできないような状態のときには、父母らに対する慰謝料支払が認められることがあります。
その金額は、事案によりますが、100万円から200万円程度となることが多いようです。
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